タラバガニについて注意してほしいのは、タラバガニはカニではないということです。
生物学上の分類では、節足動物門-甲殻上綱-軟甲綱-真軟綱亜綱-エビ上目-十脚目-異尾下目-タラバガニ科-タラバガニ属であって、カニではなくヤドカリの仲間です。
ここでは、そんなカニ?の一種のタラバガニについて詳しく説明します。
概要・基本情報
項目 | 内容 |
---|---|
タラバガニの大きさ | 甲羅の幅25㎝ 脚を広げると大きいものでは1m以上 カニとしては大型 |
見た目 | 全身が短い棘でおおわれている 背中側が暗紫色 お腹側が淡黄色 カニといえば赤い印象があるが、茹でると赤くなる(甲羅に含まれるアスタキサンチンが変色するため) |
脚の本数 | 5対10本(ただし1対2本は外側からは見えないため、視覚的には4対8本) 脚が太くて長いのがタラバガニの特徴 メスはオスよりも脚が短い |
学名・名前の由来
タラバガニの学名は、「Paralithodes camtschaticus」。
「Paralithodes」とは、ヤドカリのことです。
「camtschaticus」とは、タラバガニが生息するカムチャッカ半島のことです。
したがって、「Paralithodes camtschaticus」とは、「カムチャッカ半島のヤドカリ」という程度の意味になります。
この学名を見れば、タラバガニがカニではなくヤドカリだということが分かります。
ちなみに、英語では「Red king crab(赤い王様のカニ)」となります。
「crab」はカニのことだから、日本人だけがカニと信じているわけではありません。
なお、タラバガニは漢字で書くと「鱈場蟹」。
すなわち、「鱈場(タラバ)」の「カニ」という意味であり、このカニがタラの漁場で採れることからこの名がついたとされています。
日本産と海外産の違い
タラバガニの産地としては北海道が有名だが、それ以外にもロシア産、ノルウェー産、カナダ産などが市場に流通していますが、現在日本で購入できるもののほとんどがロシア産となっています。
生息域としては、日本海、北太平洋(オホーツク海、ベーリング海を含む)と北極海(アラスカ)沿岸、ガラパゴス諸島、チリ、アルゼンチンが知られています。
なお、ロシアやノルウェー近海には生息していなかったが、旧ソ連時代の1960年代にバレンツ海に放流し、繁殖に成功した結果、生息域を広げていきました。
現在ではノルウェーのフィヨルドで生息が確認されており、漁業資源として活用されています。
北海道産としては、羅臼や網走近海が主な漁場として知られ、オホーツク海での漁も行われていました。
しかし、現在では日本近海での漁獲量が減っているため、現在市場で流通しているタラバガニのほとんどは海外産となります。
市場で流通しているロシア産のタラバガニは生きたまま輸出されているので、品質を損ねることなく日本国内に輸入されています。
ちなみに、国産と表記されていても、実際には輸入タラバガニを国内で加工しただけのこともあります。
国産は非常に稀少なため、市場では高値で取引されています。
タラバガニの雄雌の違い
タラバガニの雄と雌は、体の大きさが一回り違います。
大きい方が雄、小さい方が雌です。
そのため、市場で流通しているのは主に雄となります。
雌は卵を抱えた状態で流通していることが多いようです。
その雌からはいい出汁がでるということで、好きな人は多いですが、ほかのカニに比べるとカニ味噌の味は落ちると言われています。
また、タラバガニの雄と雌は普段は別々に分かれて暮らしており、産卵の時期になると雄が雌の生息している場所に移動して交尾、産卵を行います。
交尾が終わると、再び雄と雌は離れた場所での生活に戻ります。
なお、タラバガニの雌は生涯に一度しか交尾しないということです。
店頭に並んでいる雄と雌を見分ける方法としては、お腹のふんどしと言われる部分(食べるときにパカっと開く部分)の形で見分ける方法があります。
お腹を見て、ふんどしが三角形なのが雄、半円形なのが雌です。
タラバガニの主食
タラバガニは肉食。
生まれたばかりの体が小さいときには動物プランクトンを食べているとされます。
成体になると、貝類やヒトデ、ウニなどの棘皮(きょくひ)動物を主食としているようです。
日本近海では数を減らしているタラバガニですが、近年ノルウェー近海ではその数を増やしており、ほかの水産資源を荒らすなどの被害を引き起こしていると言われています。
タラバガニの天敵
タラバガニに天敵は存在しないと言われています。
ただし、日本近海でその数を減らしたように、人間は天敵であり、中でも蟹を食す日本人が厄介な敵と言えるでしょう。
タラバガニの旬や食べ頃の時期
一年中流通しているタラバガニには、特に旬はないとも言われています。
ただ、冬の時期、11月から翌2月までの時期は、脱皮直後で身が硬く締まっておりおいしいとされています。
また、4月から5月にかけて、身が甘くなっておいしいとされています。
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