ハナサキガニは、節足動物門-甲殻上綱-軟甲綱-真軟綱-亜綱-エビ上目-十脚目-異尾下目-タラバガニ科-タラバガニ属に属する「ヤドカリ」の一種です。
タラバガニ科に属していることから分かるように、ハナサキガニはタラバガニの一種であり、タラバガニ同様、カニではなく「ヤドカリ」にあたります。
ヤドカリはおいしいんですね。
概要・基本情報
項目 | 説明 |
---|---|
外見 | 体色は赤褐色 全身が棘に覆われている 甲羅の長さと幅はともに15~20㎝ほど 脚は太く短い |
脚の本数 | 5対10本 外側に見えているのは4対8本(うち1対2本がハサミ) 1対2本は退化して外側からは見えない(鰓室という中にあり鰓の掃除に使われている) |
学名・名前の由来
ハナサキガニの学名は、「Paralithodes brevipes」です。
日本語にすると、「Paralithodes」は「タラバガニ属」、「brevipes」は「短い脚」という程度の意味になります。
したがって、「足の短いタラバガニ」となります。
英語では、「brown king crab」ですが、「Hanasaki crab」と言われることがあります。
「brown king crab」は「茶色い王様のカニ」という意味です。
「Hanasaki crab」はそのまま「ハナサキ・カニ」です。
英名に日本語がそのまま使われているように、どうやら世界的な認知度が低いカニのようで、国際的には情報が極度に少ないカニだと言えるでしょう。
和名の「ハナサキガニ」は漢字にすると「花咲蟹」となります。
「花咲」の由来は、主要な産地である根室の地名「花咲」からきているとするものと、茹でた時に変色して鮮やかな赤になる姿を「花が咲いた」姿になぞらえたというものがあります。
さしずめ、「花咲で採れるカニが花の咲くように赤くなる」というところでしょうか。
ハナサキガニの生息域・産地
ハナサキガニは北の海の、水深200mまでの浅い海に生息しています。
ベーリング海からオホーツク海沿岸、サハリンや千島列島で見られ、北海道より南には生息していません。
日本では主に、花咲半島(根室半島)近海で水揚げされます。
また、国内で流通しているハナサキガニは国産とロシア産がそのほとんどを占めています。
ハナサキガニの雄雌の違い
ハナサキガニはほかのカニと違って、雄と雌の体の大きさに大きな違いがありません。
そのため、雄も雌も同じように市場に流通しています。
なお、産卵直後のハナサキガニの雌は、お腹に卵を抱えています。
その雌の卵巣を内子、お腹にくっついている卵を外子と言い、どちらも味が濃く珍味とされています。
水揚げ港のある根室などでは、輪切りにしたハナサキガニを殻ごとそのまま入れた味噌汁を「鉄砲汁」といって食べることがあります。
鉄砲汁は、ハナサキガニから濃厚な出汁が出ており、非常においしいということです。
殻ごと味噌汁に入れるだけなので、ご家庭でも簡単にその味を再現することができます。
ハナサキガニの主食
ハナサキガニは雑食とされていますが、昆布を主食としています。
そのため、主に昆布の群生地に生息しており、「コンブガニ」の異名が付いています。
ハナサキガニの保護
貴重なハナサキガニの水揚げは減少を続けており、現在ではいかに水産資源として守っていくかが課題とされています。
甲羅の大きさが8㎝以下のハナサキガニの水揚げを制限することで、漁獲資源の保護に努めています。
ハナサキガニの旬
ハナサキガニの水揚げは最盛期の10分の1以下となっており、ハナサキガニの漁獲シーズンは厳しく制限されています。
日本で漁獲が可能なのは、4月から9月にかけての期間になっています。
その中で、8月から9月にかけてが旬だとされています。
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